3年ぶりに狭山市の風物詩でもある七夕祭り開催
狭山市の一大イベント狭山入間川七夕祭りが3年ぶりに開催されました。前回は2019年に開催され、オリンピックや新型コロナウイルス感染症の拡大などにより中止されていたお祭りが再開されました。
今年は規模を小さくし、納涼花火大会や阿波踊りなど人気イベントが無く、15時~20時までの5時間だけという時短での開催であるため、盛り上がりに欠けるのではないかと心配される声もありました。しかし開催してみると日が落ちたあたりから連日多くの人々が訪れ、歩行者天国となった駅前からの市街地は多くの人でにぎわいました。
実際に会場に足を運ぶと、駅前の市民広場にかけてのスロープには狭山市内の子どもから大人までが願いを込めた大量の短冊かざりが来場客を出迎えていました。駅前から市街地にかけておよそ70の巨大竹飾りが飾られ、七夕まつりらしさを演出していました。
今回は露天商などもいない状態で行われたお祭りでしたが、狭山市内の各種団体らがその代わりを担い、地域の商店などが飲食物の販売などを行う事でその役割を担っていました。どの店舗にも長い行列ができ、売り切れる店舗が続出し、街に置かれた自動販売機も売り切れの表示が並んでいました。
七夕まつり本来の意味が戻ってきた
小さい規模で再開された七夕まつりは、以前のような人が芋洗い状態でジワジワと進んでいくような混雑もなく、かといって人通りが少ないと感じるほどでもない適度な賑わいがあり、夕方には涼しい風も吹いて明かりが灯る竹飾りを揺らし、夏祭りらしさが十分に感じられるものになっていました。
露天商が無い分、歩きやすくなった会場は、竹飾りに目が行くようになり、七夕本来の楽しみがもどってきたように感じます。普段はシャッター通り感が否めないほど少なくなってしまった商店も、この日ばかりはところどころに行列を作り、活気ある街になっていました。今まで露天商で隠されていた市街地の店舗が多くの人の目にとまり、行きかう人の口から「ここにこんなお店あったんだ」など祭りの集客による本来の効果がでていると感じます。
これこそが七夕祭りの醍醐味と本来の賑わいではないでしょうか。
小さな七夕祭りに賞賛の声続出!
露天商の代わりに、店舗を構える飲食店・商店や地元で活動する各種団体やサークル、学校関連団体、自治会などが出店し、飲食物の販売を行っていましたが、多くのお店が「完売御礼」となっていました。人の数に対して圧倒的に店舗数もすくないため、このような状況になっていましたが、地元の商店などが潤う事で、地域が潤い、こういったお祭りや地域事業に還元されていくため、良い循環になっていくのではないかと地元商店の人は語っています。
市民からも、「通りが広くて歩きやすく気持ちよかった」、「今までの七夕は休む場所がなかったけど、今年は座って食事ができる場所や日影ができる場所があってよかった」など小さくなった七夕祭りに対してあらゆる方面から賞賛の声が聞こえてきました。更に、短冊に願い事を書いたり、七夕のパンフレットには1つ1つの竹飾りに対する解説があったため、じっくりと竹飾りを見るきっかけになった、七夕祭りをしっかりと楽しめたという声もありました。
一方で、「ごみを捨てる場所が全然なかった」とか「食べ物が全然買えなかった、やっぱり露天商が無いと盛り上がらない」という声も聴かれ、かつての良かったところが戻ってほしいという意見も聞かれました。
続けてほしい市民による市民のための祭り
ゴミに関しては、確かにゴミ箱が無かった分、残念な人たちによって、あちこちにゴミが放置され次回開催への課題になりました。一方で露天商については、今年の状況を見て、次のお祭りへの出店を考えている地域の団体も多くいるでしょう。地元商店や地域の団体が参加して、飲食や物販、また今回あまり見かけなかった子どもたちが参加してできる射的、ゲームなどの催しを行う事により、七夕祭りを市民により、市民のために盛り上げていってほしいと感じます。このお祭りを通じて地域の商店や団体が潤う事で、より活動が充実するようになり、それはやがて市民に還元されるに違いありません。
また、今回から取り入れられたお祭り会場での子どもたちによるガラスキャンパスへの「花火アート」など普段できない新しいアイデアを出し合うことで、今までになかった新しい七夕祭りが作られていきます。
今までは殆ど外部から来る業者が飲食やくじ引きなどのゲームで稼ぎ、祭りの運営にかかる莫大な清掃費などは市税により負担、何のための誰のために開催しているお祭りなのかが見えにくくなっていました。コロナ禍で、開催できなかったことをきっかけに、新しい形に生まれ変わろうとしている七夕まつり。小さく開催したこの七夕まつりでは、「お祭りの本質」を見たような気がします。それは、何のためにやっているお祭りなのかをよく考えさせられるものになりました。より多くの市民が参加して新しい七夕祭りを作っていきたいものです。