日本上空を通過する国際宇宙ステーションと交信!
狭山市で活動するボーイスカウト第二団の子どもたち16名が国際宇宙ステーション(ISS)に滞在するNASAの宇宙飛行士チェル・リングリン氏との交信に成功しました。
2022年7月13日20時57分ごろから国際宇宙ステーションが西の空の地平線から登り始め、21時07分ごろに北東の地平線に消えていくおよそ10分間の交信時間に子どもたちが宇宙飛行士に聞きたいことを英語で質問していきます。
地上でオペレーションを行うチームのメインオペレーターは、狭山工業高校アマチュア無線部部長の渡邉恒星さん(18)が担当します。ISSのコールサインは「NA1SS」、ボーイスカウト第二団のコールサインは「8J1SBS」で、このコールサインは特別な局に対して総務省から発給されるものです。
実際の交信映像
通常ARISSスクールコンタクトは無線機がある場所に集まり、体育館などを利用して子供たちが順番に無線機のマイクを手に取って交信を行っていきます。しかし今回はコロナ禍という事もあり、イベントが中止にならないように、地元のアマチュア無線の活用を推進する団体「スタークラブ」の事務所にアンテナと無線機を設置し、そこからインターネットを活用して個人宅と繋ぎ、1か所に集まらずに交信を行えるようにしました。
20時57分になるとメインオペレーターが、「NA1SS」の呼び出しを開始、3回の呼出し後に接続が確認されたところで子どもたちが交信を開始しました。
16名の交信終了後、ボーイスカウトのメンバーに対してチェル宇宙飛行士からボーイスカウトの先輩として、活動へのエールも送られました。
交信終了後、狭山ボーイスカウト第二団のカブ隊隊長の小林さんは、「無事に大成功したこと、感動と興奮が止まりません。
今回利用したテクノロジーと支援体制
今回の交信は「アマチュア無線」利用して、日本上空をISSが通過する際に狭山市から144MHz帯の周波数を利用して直接通信を行います。時速約28,000kmで通過する国際宇宙ステーションは地平線から反対側の地平線までおよそ10分程度電波が届く時間があるため、地上からクロス八木アンテナを利用してISSをコンピュータ制御により追尾して交信を行います。
自宅にいる子どもたちはインターネットを利用し、自分たちの声をこのアンテナが設置されているスタークラブ事務局まで届け、このアンテナを通じてISSへ送信します。宇宙飛行士からの答えはこのアンテナで受信して、子供たちの自宅へインターネット経由で送信します。
今回のイベントは狭山市を中心に活動する、アマチュア無線を日常や災害時の通信手段としての活用を推進する「スタークラブ」主催で行われたもので、狭山市立広瀬公民館の後援を受けて開催されたものです。子どもたちの英語の支援に関しては狭山市のALTの先生、市内の国際交流団体「SIFA」の方々がボランティアとして参加し、英語の発声指導、当日の宇宙飛行士への質問やその回答の翻訳などを行いました。
>>交信内容の翻訳
国家資格「アマチュア無線技士」は狭山市で取得できる!
今回のイベントの支援を行ったスタークラブでは地域でのアマチュア無線の普及活動を行っています。
電波や電気が当たり前になった今、若年層がスマホなどを持つ場合にもこの辺りの知識や法律をしっかり身につけた上で活用することが大切であり、また災害時などスマホが利用できない時の通信網確保のためにアマチュア無線の利用は有効です。中にはスマホを欲しがる子供に対し、アマチュア無線技士の国家資格を取得して電波や電気の知識を身につけることを条件に、子どもにスマホを渡すという保護者もいるようです。
合格率98%、最年少は小学校1年生
狭山市内では2017年から2か月に1回アマチュア無線技士の国家資格取得ができる講習会が開催されています。2日間の講習を経て最終日の修了試験に合格することで国家資格を取得できます。この資格は無線通信を行う事はもとより、ドローンを飛ばす際の映像送信や各種IoTの実験などにも有効という事で近年注目を集めています。狭山開催での合格率は98%以上と高く、最年少は小学校一年生で合格しています。
また、法改正などにより社会貢献活動での利用が可能になり、消防団活動や狩猟、地域イベントなどでの利用が可能になるなどその活用範囲はひろがっています。
詳しくはスタークラブの公式サイトにて受講方法などをご確認ください。